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#1077
やあ
参加者

私は、実際臨床でのTESE由来の極少数精子凍結を実施したことはありませんが、一時期極少数精子凍結の研究をしていました。
私の考えを箇条書きしてみます。

① その前に、TESE組織をすり潰した後に密度勾配試薬を使用するには、個人的にはしないほうがよいと思っています。
折角存在した少数の精子が減ってしまうと思います。

② クライオトップのシート上に作製した1µLほどのドロップ内で精子を凍結する手法は、複数報告されているので、臨床上でも可能なはずです。最初に報告された遠藤先生の論文を列記しておきます1)2)3)。

1) Endo Y, et al. Single Spermatozoon Freezing Using Cryotop. J Mamm Ova Res. 2011;28(1):47-52.
2) Endo Y, et al. Successful delivery derived from vitrified-warmed spermatozoa from a patient with nonobstructive azoospermia. Fertil Steril. 2012;98(6):1423-1427.
3) Endo Y, et al. Simple vitrification for small numbers of human spermatozoa. Reprod Biomed Online. 2012;24(3):301-307.

③ 精子の凍結保護剤としてはグリセロールが一般的ですが、シュークロースで凍結する方法も報告されていますので、お聞きになったご施設ではそれを採用されているものと思います。
Kitazatoの胚凍結液のDSには、0.5M濃度のシュークロースが含まれていますので、これを培養液で希釈して報告されている0.2M濃度に希釈して使われているのではないかと思います。
ただ、私の経験では、グリセロールの方が生存率良好でした。

④クライオトップ上で凍結したドロップをオイルに突っ込んで融解しても、オイルに精子が落ちることはほぼありません。ドロップはシート側にくっついていますので。
ただし、その後、培養液ドロップで洗浄して精子を回収しますが、回収率が100%という訳ではないので、どこかで精子を紛失していることにはなっていると思います。