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2020年7月25日 12:05 PM #964MAI参加者
みなさまのご意見をお聞かせください
凍結精子を用いてのIVFの事例です
【前検査】
当院では体外受精前に精液の培養検査を行っております
精液中に菌量の多いもの(3+以上)や、ゲンタマイシン耐性菌が
できやすい菌種などが検出(3+以上)された場合、採卵の事前にご主人
様に抗生剤を服用いただいております
(この抗生剤は菌量を減らすことが目的であり、精液内は無菌ではないと
思っています)
今回は凍結精子を使ってのIVFであり、凍結と同時に培養検査も
実施していたところCNS(1+)が検出されています
【採卵後のながれ】
採卵後、精子を融解し媒精
Day1・・・受精確認後10個の受精卵を25穴のLINKID WOWDishに
移し、観察を続ける
Day2・・・早朝にディッシュ内の汚れに気づき倒立顕微鏡で観察
①タイムラプス画像 https://youtu.be/1b8V2mrLr_I
②倒立顕微鏡画像 https://youtu.be/_g13LBP9qqM
巻き戻して確認したところ、Day1の夕方くらいから約5個のディッシュの受精卵
から細菌の増殖が確認できました。増殖とともにディッシュの穴を乗り越えて
細菌がすべての穴に広がるのを確認しました。
同時に媒精に用いた精子浮遊液と、ディッシュ内に残った培養液を
細菌培養検査に提出しました
【後日結果】
精子浮遊液 CNS 1+
ディッシュ内培養液 CNS 1+
25穴ディッシュに新しい培養液を追加して(検査に提出するのに
吸ってしまってほとんど残っていなかったため)観察を続けましたが
その後の増殖は認められませんでした
③残ったディッシュ内 https://youtu.be/O4aXB4g9BX0
【結論】
今回の凍結精子にCNSが混入していて、それが媒精ディッシュ
さらにメディウムチェンジ後のタイムラプスディッシュに持ち込まれたと
考えられます。CNSは培養検査で細菌が検出された患者様の
3~4割に認められ、高い頻度で検出されますが、当院では病原性は低いと考え
抗生剤服用リストからは外していました。
先日の某社のセミナーでもありましたように「密度勾配法」は細菌の混入した
精子を分離するのにも有用であるとのことでした。しかし当院のプロトコル(下図)
では、上清を吸った後、同じスピッツを使って洗浄することにより
スピッツの壁面についた細菌を、再び受精メディウムで
洗い落とし、遠心して精子と混和してしまっています。
これについては現在プロトコルの見直しを行っています
ここから質問ですが
①みなさまのご施設では、精子処理時に、コンタミさせないような
プロトコルで行っていらっしゃいますか
②CNSは本来培養液中のゲンタマイシンで抑えることのできる
菌種だと認識していましたが、今回増殖してしまった原因は
どのように考えられるでしょうか
③受精卵を取り出し、新しく培養液を足した、空のディッシュでは
細菌の増殖は認められませんでした。これはなぜだと考えられるでしょうか
2020年7月25日 12:08 PM #965MAI参加者すみません ↑の続きです
作業中のコンタミはもちろん、卵胞液中・精液中からの細菌の
持ち込みも防ぐことが大切だと考えています
みなさまのご施設で実施されている予防策などありましたら
教えていただけますでしょうか。
よろしくお願いいたします
2020年7月27日 10:11 AM #966じゃん参加者コンタミに関しての貴重な症例ありがとうございます。
私も以前いた施設で、一度だけ精液中の細菌が原因でコンタミを経験したことがあります。
その時の精液調整方法は40%アイソレート2mLと80%アイソレート2mLの二層法で行いました。上清をスポイトで除去し、沈査をスポイトで回収して別のスピッツに移動させていましたが、菌は除去しきれていませんでした。
現在所属している施設ではキャピラールを使用して調整しています。コンタミは一度もおきていません。
培養液中にゲンタマイシンが添加されていても、細菌量や耐性菌によっては増殖するのではと考えています。
③に関しては知識不足で考えが浮かびませんでした。
2020年7月28日 3:48 PM #967MAI参加者じゃんさん
ご回答ありがとうございました。
調べてみましたがキャピラール、色々なメーカーさんで取り扱ってるんですね
症例によっては上清を取り除くだけでは、細菌を取り除くのに不十分な
こともある、ということですね。
色々な方法を検討してみます。参考にさせていただきます
2020年7月28日 5:06 PM #968shiro参加者こんにちは
貴重な報告ありがとうございます。
密度勾配法について以前検討を行ったのですが、うまく上清を取り除いても細菌のコンタミリスクは完全になくすことはできない結果となり①ました。そのためARTキャピラールやTransferCannula(北里)の使用は有効だと思われますが、それも完全に防止はできないと思っています。(細菌のコンタミは精液由来だけではないので)
当施設では、精液そのものに細菌混入を減らす目的で
・採精前にできればシャワーを浴びてもらい、ペニスをよく洗浄していただく
・採精前に排尿してもらい、尿道内を洗い流す(尿自体は精液に混ざらないよう注意する)
・よく手を洗ってから採精してもらう 等を患者様にお願いしています。
② CNSに関してましてはゲンタマイシン耐性菌もわずかながら存在するとの論文もあり、このような状況では基本的に薬剤感受性試験を行うべきと思いますが、依頼してみてはいかがでしょうか。
③に関しましては、私もよくわかりません。
2020年7月28日 9:19 PM #969MAI参加者Shiroさん
お返事ありがとうございました
採卵の精液採取は、コロナが流行る前までは院内採精であったため
手洗いの推奨はしてますが、ペニス・尿道の洗浄までは考えてませんでした。
気になったのですが、当院の人工授精は、精液の液化を確認後
精子洗浄液を同量加えての洗浄(2000rpm5min)で処理し、上清を除いたあと
0.5mlに調整して子宮に入れています。もちろん精液中に細菌もいるので抗生剤を服用
していただいています。
パーコールをかけるのが理想だとは思いますが、そうなると、運動精子が減ってしまい
実施できない方が増えてしまうので当院ではしておりません。
今回、精液を無菌的に処理することの大切さを学んだわけですが
人工授精で、細菌除去していない精液を子宮に入れることがすごく
怖いなと感じました。皆様のご施設では、パーコール処理されていらっしゃいますか?
ないことに越したことはないと思いますが、Shiroさんのおっしゃるように
今度このような場面に遭遇したら、培養だけでなく薬剤感受性試験も
追加してお願いしようと思います。
培養液中の抗生剤で、いつもは増殖を抑えてくれているわけですが
必ず効くわけじゃない。ということをいつも頭において
毎日の処理をしていかなければならないと感じています
2020年7月30日 9:31 AM #970やあ参加者キャピラール等の製品に関して:
コニカルチューブ外壁に付着しているバクテリアの混入を避けるという観点で、非常に有効な仕組みだと私も思います。
あとは考えなければいけないのは、対費用効果や対作業手間効果だではないでしょうか?
従来の方法で、コンタミがどのくらいの頻度で起こっているかによります。
例えば、1000件に1例の頻度だとして、この1例を防ぐために1000件の作業方法を変更するか、ということを考える必要があるかと思います。もしくは、10000件に1例ならどうでしょうか?
事例の少ないトラブルに対しては、個別に対応するという考え方もあるのかな、とは思いました。人工授精の精液処理について:
皆さん認識されている通り、射出精液中にはバクテリアが大量に存在しています。本来は精子が膣から頸管粘液を通過する間に、かなりの数のバクテリアがトラップされていると想像しますので、培養液で洗浄濃縮しただけの精液を子宮に直接注入することには、個人的には反対です。(培養液洗浄の方法で、特にトラブルが起こってないということでしたら問題ないのかもしれませんが。。。)2020年7月30日 11:27 PM #987MAI参加者ご回答ありがとうございます
やあさんのおっしゃるとおり、1年に1回起こるか起こらないかの症例のために
キャピラールを導入し、プロトコルの変更をするのは非常に難しいと感じております。
(当院では対費用的に・・・ですが)
とりあえずは、キャピラールを数本保持しておいて、前回コンタミが起こった症例
で再度採卵があれば使用してみたいなと考えています。
原理的にはすごく良いものだと思います(ただ、それでも完璧に取り除くのは
難しいのですね。。。)
私の務める施設では、長いことプロトコルの見直しがされておらず
ここ2年ぐらいで、ほかのご施設さんのやり方を取り入れて、新しく始めたことが
たくさんあります。それでも、まだ古い習慣が残っていて、それに何の疑問も
持たずにずっとやっていたんだなと感じています。
自分自身気づいてなく、配偶子・受精卵にとって良くないことをしているかもしれません
今回みなさんのお話しを聞く中で、間違ってしていたことの発見が出来て
感謝しております。
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